育毛剤や発毛剤について調べるとミノキシジルという言葉をよく目にします。
ドラッグストアなどでミノキシジル配合と書かれた育毛剤を見たことがある人もいるでしょう。
しかし、ミノキシジルには具体的にどのような効果があるのか、どのような副作用が起こる可能性があるのかまでは知らない人も多いのではないでしょうか。
そこで、ここでは、ミノキシジルの効果や副作用について詳しく説明していきます。正しく理解して、安心して使いましょう。
ミノキシジルとは?
ミノキシジルは、もともとは血管拡張剤として開発された成分です。しかし、使用した患者が多毛症を起こす事例がしばしば起こったことがきっかけで、1979年に発毛効果があることが発見されました。
その後、アメリカで頭皮に使用する外用薬として臨床試験が行われ、1988年に脱毛症に対する有用性が確認されたのです。日本以外では「Rogaine」と呼ばれ、世界90カ国以上で承認され使われています。
ミノキシジルを配合した外用育毛剤はドラッグストアでも購入できますが、薬剤師に説明を受ける必要があります。
ミノキシジルの効果
ミノキシジルは、壮年性脱毛症において発毛を促したり抜け毛を予防したりする効果が認められています。
壮年性脱毛症とは、男性ホルモンが特定の酵素と結びついてDHTに変性することで発症する脱毛症です。AGAという名で知っている人もいるでしょう。
DHTが生成されると、その働きでヘアサイクルが乱れ、脱毛しやすくなり薄毛を招きます。
ヘアサイクルとは、頭髪や体毛が持つ一定の周期のことです。成長期・退行期・休止期の3つの時期があり、頭髪や体毛はこの周期を繰り返しています。
それぞれの期間の長さは生えている部位によって異なりますが、頭髪では成長期が2~6年、退行期は約2週間、休止期は3~4ヵ月です。ヘアサイクルが正常であれば髪は成長期の間に太くしっかりと成長します。
ところが、サイクルに乱れが起こると、髪が太く育たずに成長期の途中で抜け落ち、休止期が長く続いてしまうのです。すると、生える髪より抜ける髪の方が多くなり、生えている髪も細いままになります。
その結果、ボリュームが減って薄毛になってしまうのです。ミノキシジルにはこのような乱れたヘアサイクルを正常に戻す作用があります。
もともと血管拡張剤として開発された成分ですので、頭皮の血行を促進する効果は高いです。
血行が良くなると栄養がしっかり毛根に行くようになり、薄くなった部分に発毛を促したり抜け毛を予防したりすることにつながります。
また、詳しいメカニズムはまだ解明されていませんが、毛包に作用して細胞の増殖やタンパク質の合成を促し発毛させることもわかっています。
毛包とは毛根を包みこんでいる組織のことです。毛包の根元には、髪を作る毛母細胞や毛細血管から栄養を受け取る毛乳頭などがあります。
ミノキシジルには副作用がある!?
ミノキシジルは医薬品成分で効果が高い分、副作用がでる危険性もあります。ただし、女性外用薬では、配合濃度が高くないこともありこれまでに重篤な副作用は認められていません。
ミノキシジルに対するアレルギーがあると、頭皮にかゆみや炎症、発疹などの症状が出ることがあります。中には、手足のむくみや血圧の低下、体毛が濃くなるといった症状が出てくるケースも見られます。
副作用を起こす割合は、10人に1人程度です。頭皮に傷やかぶれがある場合は治ってから育毛剤を使うようにし、使って違和感を感じたり副作用が疑われるような症状が出たりした場合は、使用をすぐに中止して病院を受診するようにしましょう。
なお、ミノキシジルには、外用薬の他に内服薬もあります。内服薬のミノキシジル(ミノキシジルタブレット)は国内では未認可で、ドラッグストアなどでは販売されていません。
薄毛専門病院を受診して、医師の責任の元で処方されれば手に入れられます。ただし、外用薬よりも内服薬の方が副作用が起こりやすいため、医師の指導を守って服用することが大切です。
異常が出ればすぐに使用を中止して病院に相談しましょう。ミノキシジルの内服薬は個人輸入代行サービスを通して海外業者から購入することも可能ですが、安全性が確かではないため、あまりおすすめはできません。
ミノキシジルが使用できない人とは?
ミノキシジルには女性用と男性用があります。女性が使用できるミノキシジル配合育毛剤は、配合濃度が1%以下のものと定められています。
男性用は1%より高い濃度でミノキシジルが配合されており、女性は使えませんので注意しましょう。また、妊娠中の女性は女性用育毛剤であっても使用すべきではありません。
なぜなら、頭皮に塗布したミノキシジルは胎児に移行する可能性が高いためです。胎児にどのような影響を及ぼすかははっきりわかっておらず、安全性が確立されていませんので、使用しないようにしましょう。
また、母乳にも移行しますので、母乳育児を行っている授乳婦も使用はしない方が良いです。薄毛は早い人であれば10代後半から起こることがあります。薄毛に悩んでいる未成年の人もいるでしょう。
しかし、未成年のうちは身体もまだ未成熟ですので、ミノキシジルの副作用が強く出る可能性があります。20代未満であれば、ミノキシジルは使用しないようにしましょう。
ミノキシジル配合の育毛剤を選ぶコツ
女性がミノキシジル配合育毛剤を選ぶときは、まずは配合濃度が適切かどうかを確認しましょう。
高濃度の方がより効きそうですが、その分、副作用が強く出る可能性もあります。育毛剤によって頭皮トラブルが起こると、ひどい抜け毛や薄毛を助長してしまうこともあるでしょう。
適切な配合濃度のものを選ぶことが大切です。また、デリケートな頭皮に使用するものですので、刺激が強すぎない商品を選びましょう。
また、育毛剤は、つけてすぐに効果が実感できるというものではありません。個人差はありますが、効果が出るまでに3カ月から半年は継続して使う必要があります。
そのため、費用が負担にならない、すぐ近くのお店で購入できるなど、継続して使いやすいかどうかも選ぶ際の重要なポイントとなります。
より効果的に使うためのポイント
育毛剤の使用前には、パッチテストをして体質に合うかどうかを確認しましょう。パッチテストでは、まず少量の育毛剤を腕の内側の目立たない部分に塗ります。大きさは10円硬貨程度です。
塗ってから30分経ったら、肌に赤みや炎症が起きていないか確認します。このとき、もしも何らかの症状がみられたらすぐに洗い流しましょう。
肌に合わなかったということですので、育毛剤を頭皮に使用してはいけません。このとき何も起こらなかった場合は、1~2日してからもう一度塗った場所を確認してみます。
そこで特に何の症状もなければ、頭皮に使用しても問題はないでしょう。パッチテストを行っている間はできるだけ入浴を避け、テスト部位を濡らさないようにすることが必要です。
また、髪の成長を促すためには、育毛剤の使用だけでなく生活習慣を整えることも大切です。規則正しい生活を心がけ、十分な睡眠をとるようにしましょう。
睡眠中には成長ホルモンが分泌され、肌や筋肉などさまざまな組織の修復や再生を行っています。髪の健やかな成長にも関わっていますので、十分な睡眠をとることが大切なのです。
加えて、髪が健康に育つには十分な栄養も必要になります。たんぱく質や亜鉛などのミネラル、ビタミンを中心に、バランスよく栄養を摂るようにしましょう。
その他にも、髪の健やかな成長にストレスは大敵です。ストレスは身体を緊張させ、頭皮の血行を不良にしてしまいます。
軽い運動をしたり落ち着く音楽を聴いたりするなど、自分なりの方法でこまめにストレスを発散するようにしましょう。